華〜ハナ〜Ⅲ【完結】





ベンチを探して歩いてた。


だけど空いてるベンチは無くて。



「………。」




携帯を開いたり閉じたりしながら忙しなく歩く。


そんな時間は辛かった。




――俺、桜華の迷惑になってるんじゃないかな。



考えれば考えるほどそんなことしか浮かばない。




足元にあった空き缶を蹴ってみれば、カラカラとむなしい高音が響いた。













「ダメじゃない、ゴミは捨てなきゃ。」



説教口調の声。


女の人だろうけど、それにしては低めの声だな、と思った。




「まぁ、道端に空き缶捨てる人が1番いけないんだけど、っと。」



カラン、と空き缶をごみ箱に投げたその人に、俺はやっと視点を合わせた。