「……とりあえず上行くぞ。」 「うん。」 座り込んでいた嘉が立ち上がる。 「弘夜ぁ〜っ、悪いけどこの辺片付けといてくんね〜?」 「ハイ、李玖さん!」 「ドアはまた今度な。」 「分かりましたっス。」 その敬語はおかしいわよ、弘夜。 「……侑希ちゃん。」 「どうしたの、嘉?」 「…手、かして。」 ふわりと私の右手を掴む。 「……手、繋いでていい?」 「…ええ、もちろん。」 嘉の手、震えてる…。