「月華が、解放されればいいのにな。」 ――禍后の口癖だった。 ――自分はこの仕事から抜け出せないくせに、私を外に連れ出そうとする。 「私はそんなこと望んでいないの。」 マスターの側に居ることだけを望んでいるのに、禍后にはそれが分からないの? 幼い私の言葉に、禍后と乃亞は困ったように笑うだけだった。