「何のために、など。そんなことは解りませんね。彼の考えていることを、私たちが知る必要がありますか?答えはノーでしょう。」 それは…確かにそうだ。 でも、どこか腑に落ちない。 今までは、マスターが自分で来ていたんじゃないの? 「何か伝えておくことはありますか。」 「…何も変わりはない。」 「そう、お伝えしましょう。」 それだけ言うとアリノアは暗さに紛れていなくなった。 気配は完全に消えたから、もういない。 ………マスター、会いたい。 ぎゅっと目を固く閉じ、頭に浮かんだ煩悩を消した。