「月華じゃないか、どうしたんだ!」

「あら、乃亞…。ちょっとした仕事が入ったのよ。」

「そうか。今日はあの方もいないし私も今から仕事なんだ。…気をつけてな。」

「ええ。乃亞も、気をつけて。」

「じゃあ。」





少しだけ話しをしたかと思うと、乃亞は颯爽と薄暗い廊下を歩いて行った。





……あの雰囲気だと、たぶん何かの抹消。


人か、情報か、分からないけれど。


“存在”を“消し”に行くんだろう。




乃亞じゃなくても出来るだろうに。


――例えば、私。



乃亞の特性――私が風を操れるようなこと――は、殺しの世界では意味を持たない。


………私は、使ったことがあるけれど。