小さな城の窓から、小鳥が一羽入ってくる。黒を纏った小さな鳥だ。まだ幼い。

男の胸にもたれていた華が、それに気づいた。



「…春が、くる……」


その小鳥は、春を告げる鳥。この黒の地にしか生きられない種だった。









「春、か……それじゃあ…」




2人は音もなく立ち上がる。


フラリとしていて頼りないが、どちらも支えなど必要無かった。












「オワリを始めよう。」