数時間が経ち、不意に静寂が訪れた時。蓮士は出来る限りの、腹からの声を出した。




「全員よく聞け!!!!三代目桜華総長、琉川蓮士!」

「幹部、新倉嘉。」

「内海李玖!」

「鈴堂楓!」

「…楠木結都!」

「俺たちは、今日を以って!桜華を引退する!!!!!」









蓮士の最後の一言と共に、大きな雄叫びが響いた。

膝から崩れ落ちて泣いているものもいれば、幹部に詰め寄っているもの、頭を抱えるもの、それぞれ居た。しかし、皆気付いていたのだろう。やがて空気も落ち着き、再び蓮士が口を開いた。








「…桜華の総長は指名制だ。俺から、総長の発表をする。」






全員が息を呑み、次の言葉を待った。その間に、楓が大きな紙袋を持ってくる。










「総長は……弘夜。桜華の意思を継いでくれ。」



つかつかと蓮士は弘夜のところまで歩いていく。そして、楓から受け取った紙袋を差し出した。







「新しい特攻服だ。幹部の分もある。幹部は、お前がこれから選んでいくんだ。ともに桜華を継いでいく人間を選べ。俺は、ここでかけがえのない絆を得た。お前らもそうなることを願う。」










弘夜は震える手で差し出された特攻服を受け取った。そして、地面に頭が付くほど深く頭を下げた。










「俺っ!!!!総長みたいになります!強く!なります!!!」


















蓮士は、満足そうに笑って、それを最後に桜華の城を出て行った。



それに続いた幹部4人も、メンバーに礼を言って出て行ったのだった。