ーーーもう終わりだ、そう思ったのに、俺は死んでいなかった。 痛くもないし、何も感じない。 包丁が刺さるであろう寸前に閉じていた目を開けると、戸惑った表情の兄がいた。 おろおろと、今度は必死な表情で。 不安げだった。 今度は何をされるのかと強くなって見ていると、何か強い意志を持った目で睨みつけられた。 そのまま目の前に兄の手がかざされ… 「蓮士のことは殺さないから、僕を見て…」 言われるがままに兄の目を見ると、プツンと糸が切れたように視界がブラックアウトした。 ___ _____