そしてその一週間後。
ぞくぞくとこの狭い家に親戚が集まってきた。
そんなに大勢ではなかったが、初めて見る大人ばっかりの場所で、俺はかなり怖くなっていた。
両親にくっついていたり、兄にくっついていたりで、親戚とはあまり触れ合わなかった。
母親に抱きかかえられて、俺はもう眠たくなったころ。
リビングでは大人たちが座って、その間に兄もいて、なにやら話をしているらしい。
ほとんどの視線が兄に集まっていることから、兄の話題なんだってことはわかった。
「……貴方の大切なものは、何ですか?金?家柄?伝統?それとも…命ですか?」
「僕は、貴方たちの大切なものを奪うために海外に飛び立ったんですよ。」
兄が、そんなことを言って。
全員がぽかんとしている間に。
本当に一瞬だった。俺は目の前でなにが起きたのかわからなかった。
ーー始まりの合図は、椅子の壊れる音だった。



