華〜ハナ〜Ⅲ【完結】





***





ある日突然。兄が帰ってきた。



たぶん、出て行ってから1年くらいだろう。



もうすぐ俺たちの誕生日だと楽しみにしていたから、その帰宅が本当に嬉しかった。






一度帰ってきて外へ出ていたらしく、俺が帰ってきた後に兄は帰宅した。




「にいちゃん!帰ってきてたのか!」

「ああ、久しぶりだな。」





兄の雰囲気は子供のそれではなかった。



作り物のように綺麗に笑うその顔は、今までは見たこともないものだった。






「もーすぐ誕生日だな!にいちゃんが帰って来てくれてよかった!」

「…ありがとう。ちゃんと、お祝いしなきゃな。」





抱きつくとくしゃくしゃと頭を撫でてくれて、その体温の低さに一瞬戸惑う。







でも、やっぱり。久しぶりに会った兄はやっぱり優しくて、大好きだと思った。





「ということですので、何か、祝い事をしませんか?親戚も集まれるだけ集めて、少しは大々的に。」




そんな、兄の提案。



難しい話はわからなかったが、散り散りになっている親戚を全員集めて、琉川家の再興を願おうというものだったらしい。