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「蓮士、起きて。朝ごはんを作ったのよ。」
そんな声に、意識が浮上する。
まだ眠たい目を開くと、優しく微笑む母親の顔が映った。
「あさ、ごはん…」
久しぶりに母親の声を聞いた気がする。
それに、ご飯を作っているところなんて久しくみていなかった。
いつもコンビニの弁当か、兄が作ったスープくらいしか食べていなかった。
それなのに、その日の朝テーブルには豪華な食事が並んでいた。
湯気を上げるオムレツに、冷たいスープ、こんがり焼けたトースト。
俺の幼児用の椅子の前にはリゾットのようなものがトーストの代わりに置いてあった。
「今日は不思議と、体調も気分もいいの。」
「母さんの作ったご飯を食べるのは、久しぶりだな。」
「暁斗がいないのは残念だけれど、帰ってきたら作ってあげましょうね。」
「「「いただきます!」」」



