華〜ハナ〜Ⅲ【完結】





―――



「蓮士、起きて。朝ごはんを作ったのよ。」




そんな声に、意識が浮上する。


まだ眠たい目を開くと、優しく微笑む母親の顔が映った。




「あさ、ごはん…」



久しぶりに母親の声を聞いた気がする。


それに、ご飯を作っているところなんて久しくみていなかった。


いつもコンビニの弁当か、兄が作ったスープくらいしか食べていなかった。




それなのに、その日の朝テーブルには豪華な食事が並んでいた。


湯気を上げるオムレツに、冷たいスープ、こんがり焼けたトースト。



俺の幼児用の椅子の前にはリゾットのようなものがトーストの代わりに置いてあった。





「今日は不思議と、体調も気分もいいの。」


「母さんの作ったご飯を食べるのは、久しぶりだな。」


「暁斗がいないのは残念だけれど、帰ってきたら作ってあげましょうね。」


「「「いただきます!」」」