その日は、朝から両親の機嫌が悪くて。
頭痛がするほど良い天気だった。
「出て行ってくれ、」と言われて、兄は俺を連れていつもの公園へと向かった。
――――そこで、兄と、俺の天使が、出会うのだ。
熱を出しているらしい彼女を運んで連れて行ったのは兄だった。
まあ、冷静に考えて俺に運べるはずがないんだけど。
辛そうな彼女と、冷たい家庭教師。
以前住んでいた俺たちの家ですら比べ物にならないほど大きいお城のような一軒家。
「……天使は、お姫さまだったんだ。」
絵本に出てくるような、悲しくて泣きたくなるような、だけど美しくて人を引き付ける。お姫様。



