華〜ハナ〜Ⅲ【完結】





天使に会うため、俺は、兄貴が家から居なくなるたびに家を抜け出していた。


相変わらずどうして兄が消えるのか、何をしているのかは分からなかったし、両親が俺に興味を示すこともなかった。






だけど、好都合だ。



あの天使を見つけたのは、あれから公園に行くこと3回目。


2週間ぶりだった。


2週間ずっと天使のことばかり考えていたし、なぜか、また会えると確信していた。


…本当の天使なら、2度会うことなんて出来なかっただろうと思う。






「ね、ねえ!」


「…?」





初めて声をかけた時、彼女はとても驚いた顔をしていた。


それに、怯えたような表情でもあったと思う。




「……だれ?」





鈴が鳴るような、涼しげで心地よい声だった。