華〜ハナ〜Ⅲ【完結】







遠くからその女の子を見つけた時、俺の世界は白以外の色をなくして、音も消えた。



風に揺れる白い髪の毛と、日陰にいるのに眩しそうに細められた瞳に釘付けになった。



極めつけは、その、瞳の色。


遠目でも分かる。


俺たちとは違う、俺がもっていない色。




「…きれ、い……」




見たことのない、澄んだ赤色。


真っ赤な瞳の色だけが、世界で正しい色なんじゃないかと思った。