ふと、視線を感じてそちらに目を向けると。 ――真っ赤な瞳がこちらを見ていた。 ビックリして、負けじと俺も見返していた。 「上野!上野!!」 「はい。」 「それを早く連れて行って!見たくもないわ!!」 上野、という女の人が俺の腕を掴んで歩き出す。 腕をつかむ手に遠慮はなく、歩く速さも普通以上だ。 ついて行くのもやっとなくらい。 「……。」 背筋が凍るほど冷たい目で見られ、俺は固まる。 あの、真っ赤な目がのぞいていた部屋に乱暴に投げ入れられた。