少女は彼を待ち焦がれていた。


結都の声にも反応を見せず、勉強も手につかなかった。


だから、母親のおかしな行動にも気づくことができなかった。









「…やっと、痣も薄くなってきたわね?」



明日は、少女たちの生まれた日。


彼が、少女を迎えに来る日。








しかし、少女は明日を無事に迎えられそうにはなかった。




「…誰?」



目の前には、屈強な男が2人と、仁王立ちの母親。部屋の奥には父親も見える。上野の姿はなかった。



少女の傍には怯える結都がいた。