それから暫く―――
子供たちの父親は毎日家に帰ってくるようになった。
子供たちは理解していなかったが、少女の父親にはもう一つ家庭があり、結都はその家庭での子供だった。
結都の母親が無くなったため、父親もろともこの本家へと帰ってきたのだ。
最初のうちは母親も激怒していたものの、父親の傲慢だった態度が一変しおとなしくなったためか、段々と落ち着いていった。
少女は相変わらず様々な教育を甘んじて受けていたが、少しすると結都と一緒に遊ぶようになった。
半分血がつながっていることもあってか、二人の感性はよく似ていた。
それは少女にとって、愛おしい黒い彼に抱く感情とは違うが、温かい感情をもたらした。
「結都、」
そう言って笑う少女は、以前の、純真無垢な、花が咲くような笑顔だった。
そしてまた、家に来た当初は表情が硬かった結都もまた、晴れやかな笑顔を浮かべるようになっていた。



