華〜ハナ〜Ⅲ【完結】





それから暫く―――



子供たちの父親は毎日家に帰ってくるようになった。


子供たちは理解していなかったが、少女の父親にはもう一つ家庭があり、結都はその家庭での子供だった。


結都の母親が無くなったため、父親もろともこの本家へと帰ってきたのだ。




最初のうちは母親も激怒していたものの、父親の傲慢だった態度が一変しおとなしくなったためか、段々と落ち着いていった。





少女は相変わらず様々な教育を甘んじて受けていたが、少しすると結都と一緒に遊ぶようになった。


半分血がつながっていることもあってか、二人の感性はよく似ていた。


それは少女にとって、愛おしい黒い彼に抱く感情とは違うが、温かい感情をもたらした。




「結都、」



そう言って笑う少女は、以前の、純真無垢な、花が咲くような笑顔だった。



そしてまた、家に来た当初は表情が硬かった結都もまた、晴れやかな笑顔を浮かべるようになっていた。