「にいちゃんは、どこかに行っちゃった。」



濃い影のできた公園と呼ぶには閑散とした場所で、同い年の光り輝く男の子は言った。





「どこかに…?」


じゃ、もう会えないの?







初めて安心を与えてくれた人は、そばにはいない。


暖かな冷たさを持った人は、もう。




酷く酷く悲しんだ少女の周りを風が囲んだ。




「ハナちゃん…?」



レンの目の前で目に見えて落ち込んだ少女に触れることは、できなかった。