華〜ハナ〜Ⅲ【完結】






ビュオオオオオオオオオーーー



「きゃあああああああ!」





立っていられないほどの強風が部屋の中に流れ込んでくる。



風に煽られ平衡感覚をなくした上野は、机に頭をぶつけて意識を失った。





するとすぐに風が弱まり、サラサラと肌を撫でるような柔らかいものに変わる。




「…わたしを、呼んだのは、あなた?」




少女は何か姿が見えているかのように話し始めた。



その部屋には少女と意識がない上野しかいないのに、だ。




だが少女は話を続けた。




「待ってた?わたしを?」

「風、さん…。」

「わたしを、守ってくれるの?」



守ると言った風の意志は、少女だけに伝わった。


それはまた、少女に初めてかけられた言葉だった。





「わたしが怖い思いをしないように、守ってくれるのね?」




ざっくりと短く切られた髪をふわふわと靡かせながら、少女は心底安心したような笑みを浮かべていた。