少女の能力が目覚めたのは、突然のことだった。 なんの前触れもなく。 「………?」 「お嬢様、勉強に集中して下さい。」 「…はい。」 少女が勉強途中に不思議そうに顔をあげたのだ。 そんなことはそうそうない。 怒られることに酷く怯えている少女にとって、与えられた課題を終わらせることは怒られないための唯一の手段だったから。 「…やっぱり、誰かが呼んでる。」 「お嬢様!」 バッ!と上げた上野の手が触れる前に、少女は部屋の窓の方へと寄って行った。 そして窓をいっぱいに開けば。