血管も透けるほどの真っ白な肌。


光に透ける真っ白の髪。


極めつけは真っ赤な瞳。





―――少女は、体にメラニン色素を持たない病気だった。







「どうしてこんな子が生まれたのかしら。」



理由は知っているはずの少女の母親だったが、これみよがしに少女の前で繰り返しその言葉を吐く。


人目に晒せば奇妙なものを見るような視線を受ける。それは母親である女にも注がれる。



「…ごめんな、さい。」



少女が最初に覚えた言葉だった。



「ごめんなさいは!?」

何を覚えるよりも先に、少女は叩かれるときにそう怒鳴りつけられる言葉を覚えたのだ。


そう言えば、母である女は少しだけ満足そうに口元を歪めたから。






――泣けば叩かれる。

――声を上げれば怒られる。

――姿を見せれば不機嫌にさせる。



身をもってそう覚えこんだ少女は大きな大きな部屋の隅にうずくまって一日の大半を過ごした。