『……冗談言わないでください』


(冗談言わないでほしいのはこっちなんですけどー)


美術室から聞こえてくる声に頭を抱える。


(ああ、面倒くせ。ってか本当に美術室を使うあたりが白川らしい)


あの日“全部分かってんでしょ!”と怒った白川。



(やっぱそうだよね。あれって白川なりの『タスケテ』)


「分かっちゃうから面倒くさいんだよね、ホント」


ため息と一緒にドアをオーバーアクションで開ける。端っこまできっちり開ける。


「あれ?富永センセー。こんな僻地にどうしたんですか?」


とたんに白川がツツツ…と俺に近づいてきて「はい、これ島先生」と胸に抱えていたモチーフの鳩の剥製を差し出す。


(なぜ?……いりませんけど、鳩)


グイグイとそれを胸に押し付けられて仕方なくそれを受け取った。