~とある教師と優等生の恋物語~

長く垂れた漆黒の髪が俺の手にかかってむずがゆい。


邪魔、とそのひと束を軽く引っ張ると


「あ、ごめん」


とその束はそっと白く柔らかそうな耳にかけられた。


「あ、変なこと考えてる!」


そう指摘される程にじっと眺めてしまった。


バカか、と呟いてまた報告書にペンを走らせる。


「ああ。面倒くせぇんだよ、これ」


「どうせ毎日同じこと書いてんでしょ」


「うるせ」


白川の『担当指導教師』として担任に指導報告書を提出しなければならない、というこの進学校のシステムはどこまでも面倒くさい。


「字ぃ、汚いね」


「うるせ!てかこれ完璧お前のせいだから!」


「仕事でしょ?」