~とある教師と優等生の恋物語~

作業台に座る彼女を仰ぎ見ると「何言ってんの、先生」とばかりの視線が返ってきた。


「だって先生しかこんなあたしを知らないんだよ?他で元気でるわけないじゃん」


そうなのだ。白川は最近気づいてしまったのだ。


俺の前が校内で一番楽だということに。


そりゃそうだ。言いたいこと言いまくりなんだから。


昨日なんて散々毒舌ふりまいて最後には『先生といると楽だな~』なんて伸びまでしやがった。


「それって俺と居ると元気でるってこと?」


「気晴らし程度にはなるってこと」


「……教師で気晴らしってどうかと思うんだけど」


「小さい事気にすると禿げるわよ」


「フッサフサだもんね」


「ねえ、それって報告書?」


白川が俺の手元を覗き込んだ瞬間、ふわりと甘いあの香りが流れ込んだ。