(しかし『恋の奴隷』なんて。なんつう趣味してんだ)


わざと冷めた視線を送ってやるけど


「え?うん。帰るよ。もう帰るから」


俺の攻撃なんてものともせずに、それどころか目じりをたらした修司。


(純粋ってある意味、最強だよね)


「カオリン?」


「人の奥さん、カオリンって言うな」


「香織?」


「人の奥さん呼び捨てにすんな」



「面倒くさい男だな。香織、さん、調子はどうなんだ?」



「あ、順調、順調。俺のハニーだもの」



何がハニーなんだって突っ込みたくなるけれど、幸せそうな修司を見てやめてやった。



修司には愛妻カオリンがいて、じきに赤ちゃんが生まれる。



赤ちゃんってのはこうして望まれて生まれてくるべきなんだって、これが当たり前の状況なんだって、修司たちを見ていてそう実感する。



きっとこうして生まれてきた赤ちゃんは幸せだ。