~とある教師と優等生の恋物語~

その日もいつも通りの仕事を終え帰宅した俺は


「、」


マンションのドアの前で、ふいにタバコを落としそうになった。


「……なんでお前がいんだよ?ビビってタバコ落としそうになったじゃん。心臓止まりそうになるじゃん。先に言っとくけどここって禁煙区域じゃねぇよ?」


ホントはビビッたからだけじゃない。


心が揺すぶられるから。


もう会うこともないと思っていたから。


会えないと思っていたから。


「久しぶり」


相変わらずの少しキツめの印象のある目元とミルクティ色の瞳に目眩がする。


会いたかった――

会いたかった――

「ジロー、ケータイの番号変えたの?」


「まあね。知らせる程じゃないかなって思ったから」


本当はかかってこないという現実が苦しかっただけ。


彼女が番号を知らなければ、かかってくる事はないのだから。