~とある教師と優等生の恋物語~

「けど私、あの絵結構好きだよ。綺麗じゃんあの青と白のコントラスト」


「なにを偉そうに」


「いやいやマジで。『ああ、いい絵だなー』って思って見てみたら、下に“島次郎”ってプレートがあったんだよね。……あ…あれ?あれ?シマ……ジロ」


「……あんだよ?」


「ねぇ?島次郎……って」


(ヤバイ)


これって密かな俺の弱点。


「シマジ――」


「ちょ!みなまで言うんじゃねェ!成績1つけるぞ!」


「うわッ!職権乱用。サイテー」


「うるせェ。二度と言うなよ。言ったらマジで1だからな!!」


「そんなに怒らないでよ。てかマジ子供~」とゲラゲラ笑う桜井。


(…最近のガキは嫌だねぇ)


禁煙パイポをくわえて上下させるながらふと思う。


白川ともこうしたやり取りを何度もしてきたけれど、


桜井を見ても、こうして軽口を叩きあっても、


白川の時のような、柔らかくてでも切なくて泣きたくなるような、何にも変えられないという気持ちにはならないから……


やっぱりアイツは俺にとって特別だったんだな、と実感して胸が少し痛んだ。