~とある教師と優等生の恋物語~

(ほらね。やっぱ奪う必要なんてないんだ)


夕べ、『この場合は香織には申し訳ないけどやっぱ辞表だよな』とか


『この街に二人で平然と住めるんだろうか?』とか


『あれ?これっていわゆる駆け落ちになるんじゃね?』とか


『本当に白川を奪ったとして……白川は幸せなんだろうか?』とか


いろんな事が脳裏を駆け巡って。


急に問題山積みになった事や、

平穏じゃない日々を想像して多少憂鬱にもなったけど。


手放そうという結論はどうしても出てこなかったから。


彼女の未来のが大切に思えるから。


だから、病院に父親を呼び出した白川と、こうしてここに来たのだけど。


(なんか……気ィ抜けちゃったな)


白く続く廊下に時折差し込む窓の日差しが乱反射して眩しい。


「あ~、緊張して損した」


(人生は意外と平凡に出来ているのかもしれない)


コキコキと首を回して肩に手を乗せ、腕をグルリと回す。


「ジロー!!」


背中にかかる声にまた肩に力が入ってしまった。