~とある教師と優等生の恋物語~

「うわぁ……ベタだ!」


これが車を降り立った彼女の第一声。


「……すみませんね、ベタで」


夏の海辺はじっとりした風がひっきりなしに吹いていた。


「ベタでもいっか。なんか気持ちいいかも」


伸びをした彼女の白い膝丈のワンピースが闇夜にはためく。


「夜の海なんて初めて。もっと近くに行ってもいい?」


彼女の少しだけはずんだ声に俺が嬉しくなる。


「あんま遠くいくなよ?」


「分かってるよ」


白い影が少しずつ闇に混じっていき、そして小さくなる。


俺は煙草に火をつけると、浜辺に座った小さなそれをただ見つめていた。


どのくらいの時間が経ったのだろう。


動かなかった白がゆらりと揺れたと思ったらこちらに向かってゆっくりと歩いてくる。


(ちゃんと泣けたんだろうか)


次第に鮮明に見えてくる白川の表情は来た時よりも少し柔らかく感じて。


「ジロー、お腹すいた」


白川らしい言葉に思わず笑みが溢れた。