~とある教師と優等生の恋物語~

車の助手席から一点を見つめる白川はひどく疲れた顔をしていて。


大丈夫か?と聞いたところで返事はなかった。


彼女の実家の前で車を停めてサイドブレーキを引いて、動く気配もない白川を横目に煙草をくわえた。


ハザードランプがあちこちをオレンジ色に照らしてチカチカと目に痛い。


父親に会いたくないと言った彼女が今度は血の繋がらない母親のいる家に帰る……。


世の中は時に無情だなと思う。


だからせめて俺ぐらいは彼女の心の準備が出来るまで存分に付き合ってやろうと思っていた。


一本目の吸殻を灰皿に放り込んだ時、今まで一言もしゃべらなかった白川が「ねぇ?」とこちらに顔を向けた。


「先生なら、どんな顔してお母さんに会う?こんな顔?」


フワッと髪が揺れてこちらを向いた白川は笑っていた。


不自然なほどに自然に、可愛らしく。