~とある教師と優等生の恋物語~

「……お母さん、なんだって。さっきそう言った」


「……ユカリさんが?」


「信じらんないでしょ?親戚じゃなくて、お母さんだったの。この人があたしを捨てた人だったの」


おおきなライトブラウンの瞳が一瞬涙で歪んだ。


「そ、うか…」


「……」


言葉もなく立ち尽くす俺たちにはまるで気づかない看護師さんがドアを開け『ご家族の方ですよね?じゃ、これ』と入院の書類を渡す。


俺が否定するよりも早く白川が口を開いた。


「あの、もうすぐ父が来ますので。父に説明してもらっていいですか?」


「でも」


「彼は親戚と言っても遠縁ですし。あたしはまだ高校生なんで。」


看護師さんが驚きの声を上げる。


「あら。そうなの?しっかりしてるからもう成人されてるかと思って、つい。ごめんなさいね」


「いいえ」


少し震える指先を後ろに隠して落ち着いた声を出す白川は、


きっと落ち着いて対処したんだろう。


きっと優等生らしくしてのけたんだろう。