なぜだろう、この一言で急にアンちゃんが優位に立ったように感じてしまうのは。


「……言わねぇよ、思わねぇよ」


「あたしジローを男として見てないから」


さらなる追い撃ち攻撃をする必要があるのか、ちと考えろ、コラ。


「……あ、そう」


かなりムカつくけれど、広い心でとらえれば、これは俺の望む展開と言えない事もなく。


「送るよ」とテーブルの上のキーケースを掴み、追い出しにかかる。


だって向こうと同様に、俺も俺なりの意思表示したっていいでしょう?


帰れ、と言わないのは、かろうじて機能している大人の男のプライドってやつだ。