「本当にごめんなさい」


「……バカだね、ジロー」


「、」


下げていた頭を持ち上げると思っていたよりも近い距離に、少し困ったように揺れる瞳があった。


「ごめん――」


「もう、いい……本当はそんな事で怒ってたんじゃないから。なんかちょっと寂しいっていうか――」


「、」


「あ、タクシー来た!」


はぐらかすように街灯の下に入って手を上げる白川。


「あたしもごめん。イライラしてて」


こちらに顔を向けずに光の中ですこし照れたようにそう呟く白川を見ていたら、


なんだかさっきの『バカ』の連呼もどうでもいいような気分にさせられた。


「お前のイライラなんてもう慣れっこだけどね」


煙草を消し空を見上げた頃、タクシーが俺たちの前で止まった。