「北海道の雪景色は、世界一だよ。」
ずっと押し黙っていた雪くんが静かに言った。
「世界中の雪景色を見たわけじゃない。
正直、ここしか知らない。
でも、そう言いきれる。」
うん。
わかるよ・・・・。
これ以上にすぐれた景色なんて
他にはないって。
「俺は雪が好きだ。
雪以上に綺麗なものはないって思っていた。
でも・・・・」
雪くんは、わたしと顔をあわせようとしない。
やわらかそうな黒の髪の毛でかくれて、表情も見えない。
「俺は、
あの日、雪よりも
雪の中で泣いている、一人の女の子の方が綺麗だと思った。」
ハッとする。
雪くんが"あの日"と言った日に心当たりがあった。
そして
心臓を打たれたようにドキンとなった。
雪くんはいつもまっすぐで素直だけど
こんな風に真剣に
『綺麗』といわれて、ドキドキした。
はじめて
雪くんの声を
男の人の声だと思った。


