聞こえるのは、時計の針が時刻を刻む音と吹奏楽部の練習の音。
ガラッ
いきなり開いたドアに、驚いて振り返る。
「なんだ透河か…ビックリした…」
「“なんだ”とは何だ」
いつもはワックスでセットしている黒髪に、少し寝癖がついている。
制服にもシワがついてる。
「寝過ぎじゃない?」
「うるさい」
当たり前のように、あたしの隣に座った透河。
「…あのさ」
少しの沈黙の後、不意に話しかけられて目線を窓から透河に移す。
「泣かないの?」
「…は?」
意味が分からない…。
というか、透河は言葉が少なすぎて伝わらないんだよ!



