「海來」 名前を呼ばれて顔を上げると、ニッと笑った晴斗。 「ちょっとついて来て」 手を引かれて、晴斗の自転車の後ろに乗せられる。 「え、晴斗!?」 「ちゃんと捕まらないと振り落とすぞ」 笑いながら言う晴斗に、慌ててしがみついた。 「よし、出発!」 その言葉と同時に走り出した自転車。 冷たい風邪が頬をさす。 「晴斗、どこ行くの?」 「ん~?内緒」 教えてくれない晴斗に、少しだけ不安にもなったけど。 このまま連れ去ってほしい。 瞳に溜まる涙には、気付かないふりをした。