「集」 「ん?」 何度も名前を呼ぶのに、集が遠い。 「呼んでみただけ」 「…なんかあった?」 「何もないよ」 まっすぐに見つめてくる集から目を逸らして答えた。 「…なんでそんなに泣きそうな顔してんの」 離れていかないで。 そう言えたらいいのに。 なんでも言い合ってきた仲なのに。 初めて言えない事ができた。 「…俺はここにいるから。ずっと。」 あたしの心を読んだかのような言葉。