幼なじみじゃイヤなんだ。

近くにあったベンチまで、流瑠が連れて行ってくれて、座らせてくれた。




目の前の水槽では、イルカ達が何事もなかったかのように、楽しく泳いでいる。




私には、つい今、大事件があったというのに。




「桜、大丈夫?落ち着いた?」





隣から優しい声が聞こえてくる。





「う、うん…」





そう返事は出来ても、俯いたままで流瑠の顔を見上げることが出来ない。





「・・・桜?」





目を合わさない私を心配したのか、流瑠が顔を覗きこんで来る。





「わっ!?な、流瑠!!こっち見ないでよぉ」






そう言って、顔を両手で隠し、流瑠とは反対方向に顔を逸らせる。


流瑠はそんな私を見て、困ったような顔をした。





「なぁ、桜。キスしたこと怒ってんの?」


「へ?」





流瑠が突拍子(とっぴょうし)もないことを言い出すから、思わず、熱い頬を隠すのも忘れて、振り向いた。