幼なじみじゃイヤなんだ。

「上坂くんって確か、桜ちゃんに『綺麗だよ、桜』って囁いた子じゃなかった?」





藍ちゃんが陸人に呟いた、着色された記憶が、静まり返ったこの部屋に響き渡る。






「そうだ!姉に愛の告白をした“天然記念物男”だよな?」






陸人が叫んだ。






「やっぱりそうなのか!付き合ってるのか!桜!ホームでイチャイチャ手なんか繋ぎ合って!!お父さんは、お父さんは、許さんからな!」


「えぇっ!イチャイチャしてたのかよ!そいつと」


「手を繋ぎ合ってた!?そうなの?桜ちゃん!!」





陸人と藍ちゃんが口々に言う。






「ち、違…」





繋ぎ合ってたんじゃなく、握られてた。

そう言う暇もなく、この場の妄想が瞬く間に広がっていく。