…ちょっと私!しっかりして!!




もうすぐ家に着く。

だから今、泣くわけにはいかない。




もし、泣いてるところを藍ちゃんや陸人なんかに見られたらおしまいだよ。



食事会で泣いてた理由を問い詰められて、流瑠と喧嘩したに違いない。とあれこれ詮索されてしまう。




だから、それだけは何としてでも避けたい。




私は気持ちを隠し通すって決めたんだから。







幸い私の気持ちを知っているのは上坂くんだけ。



あ、そっか、陸人も気付いてるんだった…。


何とかごまかそう。

無理なら買収したらいいや。



俯いて歩きながらそんなことを考えていた。


その時、







「桜!」






どくん!?


前方から聞こえてきたよく知っている声に心臓が跳ね上がる。






なんでいるの?


恐る恐る顔を上げた。