「そんなに怒られたんだ?」





2階に続く踊り場の壁にもたれてその声の主は立っていた。


そこにある大きな窓から差し込む光に逆光になった姿は、また少し背が高くなったな。と思わせた。





「流瑠…」


「おぉ」






壁から背を離しこちらへ一歩近づいて来た。

私も流瑠のもとへ階段を一歩ずつ上って行く。



待っててくれたんだ?





「そんなに怒られなかったよ」


「でも、へこんでんな」


「だって…初日からいろいろ恥ずかしくて」


「気にすんなって。今日バレてなくても、桜が、天然で、おっちょこちょいで、おバカで、その上に“超”が付くのも、近い内にみんなにバレてたと思うから」


「……」


「…あれ?反撃なし?だいぶ弱ってんなぁ」


「……」





流瑠は踊り場まで上って来た私の顔を覗き込んだ。



静かに頷いて、流瑠の目を見て口を開く。