幼なじみじゃイヤなんだ。

「…情けない失敗しちゃった。流瑠には、バレちゃったね」


「俺が気付いたのは音がどうとかじゃなくて、桜が演奏後に落ち込んでいるように見えたからだよ」


「…そっか」


「次、挽回すりゃいい。練習よりそれ食べて元気になる方が先。あんなに家でも練習してたろ。次は大丈夫だよ」


「うん。食べて頑張る」


「うん。頑張れ!」





そう言って、頭をポンポンとした流瑠はいつものあの笑顔で笑っていた。





さっき、私を無視して通り過ぎた時に見た顔とは全然違う顔。





おにぎりを食べながら、流瑠の横顔を見つめる。





「ん?」





視線に気付いた流瑠が優しい笑顔でこっちを見た。







「何で、廊下で会った時何も言わずに行っちゃったの?」






流瑠が少しびっくりした様な顔をする。

何かを考えるように少し視線を落とした後、私に視線を戻して言った。