幼なじみじゃイヤなんだ。

風が吹き、木々の葉と葉がぶつかるざわめきが聞こえる。




だんだんと気持ちが落ち着いて、涙が引いて行く。





目の前に流瑠の手が差し出される。





その手に引っ張られて立ち上がった。


そのまま2人でベンチに座る。





「昼、何か食った?」


「ううん」


「桜が、こんな時間まで食べずにいるなんて、明日は雪が降る」





流瑠はどこかのクラスで買って来た、炊き込みご飯のおにぎりと昆布のおにぎりとお茶が入った袋を、私の膝の上にポンと置いた。




私の好きな具のおにぎり・・・





「…これ、私に買って来てくれたの?」


「うん。演奏会のあの様子じゃ食べてないかもなって思ったから」


「演奏会聞きに来てくれてたんだ?」


「うん」






あんな風に廊下で通り過ぎって行ったから

今日は、聞きに来てくれていないかもって思ってた。