幼なじみじゃイヤなんだ。

「ヤボ用?」


「うん、マサくんが『流瑠はヤボ用があるから一緒に帰れない』って言ってたから」


「あー、うん。大した用じゃないよ」





何か隠してる?




流瑠が私の質問にこんな曖昧に答えるなんてめずらしい。




頭の中を不安が過ぎる。



雪見さんと一緒だったの?






でも、何も言えなくて、流瑠を掴んでいた手が落ちていく。


縋(すが)り付く様に流瑠を見つめていた目線も落ちていく。




もっともっと質問して、本当のことを聞き出したいけれど、こんな風に答えられているのに、これ以上突っ込むのもうっとうしいヤツかも…。





「桜?」





流瑠が声を掛けて来る。





「なに?」


「あのな、雪見の事、もう大丈夫だよ」


「え?」


「桜、心配してたからそれだけ伝えておこうと思って」


「そっか。良かったね…」


「うん…」






流瑠がどうにかしたんだ……よね?



私以外の女の子を助けている流瑠って初めてみたかも。