幼なじみじゃイヤなんだ。

「あぶなっ……!!」






私の頭を抱え込む大きな手。


体を包み込む腕。


額に触れているのは、いつの間にか逞(たくま)しくなった胸。


思わずしがみついた私の手は流瑠の背中に回っていた。





抱き締められている?

抱きついている?





突然の出来事に頭がついていかない。


自分が今どういう状況にいるのか、温かい胸の中で感じていた。





流瑠は私が完全に倒れ込む前に、体を抱き寄せ支えてくれていた。


私は、ソファーにひざをついた状態で流瑠にしがみついている。






「ありがとう」も

「ごめんね」も






声に出来ない。






そのまま動けないまま、時間が流れて行くのを感じる。


頭が少しずつ冷静に物事を判断していくのに反比例して、心が乱れた音を奏で始めた。