幼なじみじゃイヤなんだ。

《今終わった。一緒に帰ろう。流瑠》





流瑠からのメール。


気が付けば、私は携帯をバッグの中に放り込み、練習していた教室を飛び出してグラウンドに向かって走っていた。





ただ、ただ今は、１分でも１秒でも早く、流瑠の顔が見たくて。





放課後になるまで、ほんのついさっきまで一緒にいたのに、なぜかもう何日も会っていないような感覚におちいってしまっていたから。







こんな風に心が落ち着かなくなるのは、

こんな風に心が焦ってしまうのは、一体何でなの？







だめ、だめだ。


考えれば考える程、心が平常心を保てなくなる。








顔を見れば、笑いかけてくれれば、言い合いすれば、


きっと、心はいつも通りに戻れるから。


私は流瑠といつも通りの時間を過ごしたい。




変わって行くのは、


乱されるのは……いやなの。









ドクン








校舎から飛び出した私の目線の先に、流瑠の背中が見えた。


そして流瑠の前には、女の私ですら見惚れてしまう、笑顔の雪見さんが立っていた。