赤い狼と黒い兎



『おはよう』

「…はよ」



おお、自然体だ。

そう思ったのも束の間、驚いたように目を見開く唯兎。



「馨!?」

『うん。本物』

「いつ…起きた?」

『ついさっき』

「……本当に」

『うん。唯兎』

「…ん?」



あたしはにこりと笑って、手を握った。



『ただいま』

「!…お帰り、バカ馨」



…バカって、ひどいなぁ。

ちょっとヘコんでいると、ぎゅっと抱き締められた。



「バカだよ、ほんと…。心配かけさせやがって…っ」

『…うん、ごめん』

「起きんの遅すぎ…」

『……うん?』