赤い狼と黒い兎



そう呼び掛けるとピタリと動きを止める嶽。



『お前の相手は、あたしじゃないのか…?』

「…クッ、ハハハハッ!!」



くそ、なかなか外れねぇこのロープ…



「お前はメインだよ、馨」

『…ありがた迷惑』

「まっ、お前はそこでこいつらが俺に殺られるとこ見てな」

『それはムリ、だな』



やっと外れたロープ。

それに気付いた背後の男。



「てめっ!」

『残念。反応が遅いな』



手摺を杖に、回し蹴りを食らわせた。



「ぐはっ!」

「………」

『…俺が居る限り、そいつらに傷一つ付けさせねぇぞ嶽』