おいしい。

ただのスポーツドリンク…なのにな。



「さ!俺は練習しよーっと」



私がごくごくと飲んでいるのを見て、彼は公園に転がっているバスケットボールを拾う。


元気だなぁ。

さすが男の子って感じ。


それに比べて私は……。



「あ、そういえばさー」


下を向いて、落ち込んでいる私のことはお構い無しに、彼は私に話しかけてくる。



「あんたの名前って、なに?」

「……………は、い?」



今度は何かな、と思っていると、聞いてきたのは私の名前。


私の名前なんか…聞いてどうするの?

もう会うことなんて無いんだから、別にいらないんじゃ…?


不思議に思って、下を向いていた顔を上げる。

彼を見ると、器用に片手でボールを回していた。