そんなわけで、彼との間には穏やかで静かな空気が漂っていた。


…なのに。



「……っくしゅん!」

「……」


…恥ずかしい。

穴があったら入りたい…っ。



私がくしゃみをしたおかげで、そんな空気は壊れてしまった。


ちょっとショック。



「もう大丈夫そうだな」

「…ありがとうございました」



彼の肩に預けていた頭を戻して、涙で腫れているだろう目蓋をソッと撫でる。


うわ、やっぱり腫れてる。

家に帰ったら、ちゃんと冷やさないと。



「ほら、これ飲んだら?」


差し出されたのは、さっき私が飲んでいたスポーツドリンクと、使用していたタオル。


「……ありがとうございます」



それらを受け取って、タオルは膝に置いて、スポーツドリンクはごくごくと飲んだ。